2014年04月05日

クマに会ったり、昼寝をしたり

交感神経と副交感神経の機能の話じゃ。

交感神経は、危険で不安なときにそれに身体を対応させようとする神経。

一方、副交感神経は、穏やかでゆったりとしたときに身体にエネルギーを蓄えるようにする神経だ。


交感神経と副交感神経の作用は、真逆だということじゃな。

それぞれの神経の興奮で体中でどのようなことが起きるのかというと

こんな感じだな。



交感神経と副交感神経.jpg


交感神経の興奮では、瞳孔散大、血圧上昇、気道拡張、消化管運動減少…….

副交感神経の興奮では、動向縮小、血圧下降、気道収縮、消化管運動増加………..



こんなもん!覚えられるか!!  という感じじゃないかな。


その感覚は正しい感覚じゃ。

こんなもん覚えられない。

覚えられるか!というか、覚える必要はないのだ!!

細かく覚えても、どうせ3日もすれば忘れてしまう。

また、国家試験会場のような緊張する場所にいくと、どっちがどっちかすぐに分からなくなってしまうものだ。

だから、そんな薄っぺらい記憶は最初から必要ない



じゃあ、どうすればいいのか。


勉強の全てで言えるのだが、イメージで覚えること だ。


イメージで覚えた記憶は頭の中に長くとどまっているものだから。

今後、臨床に出て働き出したときに役に立つ記憶というものもイメージで覚えたことだ。

脳神経という、この広い宇宙の情報は、点で覚えず、面、空間で覚える感じじゃな。



で、交感神経と副交感神経の機能の話じゃが、



交感神経の興奮は、


『山道でくまに出会った時の身体の反応』  を思うこと。

 

クマ@.png



副交感神経の機能は

『日曜日の午後に、まったり昼寝をしている時の身体の反応』  を思うことだ。


昼寝.png



交感神経の興奮。

ます、山道でくまに出会ってしまったとき、身体はどのように反応するのだろうか。

心臓は、バクバクするな。だから、 

  心拍数は増加 、血圧も上昇 


鳥肌が立つな、変な汗もかくな。だから、 

  立毛筋の収縮 、 汗腺の分泌活動増加


どうやって逃げられるか視野を広く持って観察するな、そして、逃げるのに備えて空気をいっぱい取り込むな。だから、 

  瞳孔散大(散瞳) 、 気道拡張 


逃げるのにはエネルギーが必要じゃな。だから、

  肝臓では グリコーゲンを分解して血糖上昇 



命に関わる事態なので、ものを食べていたり、おしっこをしている場合ではない。だから、

  消化管運動の抑制、唾液分泌は少なく、膀胱弛緩(尿閉)






一方、副交感神経の興奮。


まったり、日曜日の午後に昼寝をしているときはどうだろうか。

ゆったりしているので、心臓は、

  心拍数低下、血圧も下降


空気もそんなに必要ないので、

  気道収縮。


光もそんなに必要ないので、

  瞳孔縮小(縮瞳)


エネルギーも必要ないので、

  肝臓ではグリコーゲン合成して血糖値低下。



そのかわり、交感神経の興奮の時には活躍しなかった

  消化管の運動や、膀胱の働きが促進   される。


唾液なんて、寝ているとダラ〜っとたれている感じがするじゃろ。だから、

  唾液腺では、大量の薄い液が分泌  する。



以上、こんな感じじゃ。



「おい、おい!こんなんで、大丈夫か?」

きっと、そう思っているだろう


ならば、 『クマにあったり、昼寝をしたり』 の情報だけで国家試験を解いてみるか





★国家試験をやってみよう

問5 交感神経が優位に働いたときの反応で誤っているはどれか。(第41回)
1.瞳孔の散大
2.心拍数の増加
3.収縮期血圧の上昇
4.皮膚動脈の収縮
5.排尿筋の収縮      

問6 副交感神経の興奮によるものはどれか。(第46回)
1.瞳孔散大
2.胆嚢弛緩
3.消化管蠕動抑制
4.気管支平滑筋収縮
5.外生殖器血管収縮     

問7 副交感神経の作用で正しいのはどれか。2つ選べ(第44回)
1. 発 汗
2. 涙液分泌
3. 立毛筋収縮
4. 気管支収縮
5. 筋血管拡張    

問8 副交感神経が優位に働いたときの反応はどれか。(第45回)
1. 散 瞳
2. 心拍数増加
3. 気管支収縮
4. 皮膚血管収縮
5. 膀胱括約筋収縮



よし、一問ずつ解いていってみよう.............






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posted by わらじい at 12:04| Comment(0) | 末梢神経 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月03日

めいどが副交感

今日は末梢神経の『自律神経』の話だ。

『自律神経』は、自分の意思でコントロールできないので、「不随意神経」といわれたりもする。

これに対して、昨日話した、体性神経の『運動神経』は、自分の意思でコントロールできる神経なので「随意神経」とよばれる。



まあ、それはさておいて、自律神経の話じゃが、『自律神経』は、2つに分類される。


『交感神経』と、『副交感神経』   だ。


『交感神経』は、危険で不安なときにそれに身体を対応させようとする神経。

一方、

『副交感神経』は、穏やかでゆったりとしたときに身体にエネルギーを蓄えるようにする神経だ。



『交感神経』と『副交感神経』の作用は、真逆だということじゃな。

脳神経と脊髄神経の『自律神経』が、それぞれが分類されるので

こんな感じじゃ。


末梢神経の分類C.jpg


ここで重要なのは、脳神経の『交感神経』のところは、黒く塗りつぶされているが、実は脳神経には『交感神経』はないこと。

あるのは『副交感神経』だけなのだ。

だから正確にはこんな感じだな。


末梢神経の分類B.jpg


“脳神経のアリ“で表すと、


脳神経のアリ.jpg



脳神経は、『副交感神経』だけだと言ったが、それも、すべての脳神経に『副交感神経』の働きがあるわけではない。

脳神経は12対あるのだが、そのうち『副交感神経』の線維を含むものは、


動眼神経(III)、顔面神経(VII)、舌咽神経(IX)、迷走神経(X)の4つだけじゃ。


動眼神経の後に(III)とあるのは、第3脳神経という意味じゃ。

脳神経12対には、1番から12番まで、番号とそれに対応する名前がついている。

詳しくは、のちに話すが、ここでは、”副交感神経の線維を含む脳神経が、何神経か?”だけ覚えて欲しい。


この覚え方は

番号で言うと第3、7,9,10脳神経が、『副交感神経』なので、その番号から


腐った納豆(9,3,7,10) や

港区(3,7,10,9)  


と覚えている人が多いじゃないかな。


しかし、この覚え方だと、脳神経の番号と対応する神経の名前を覚えていないとできないので、神経の名前と対応した覚え方を教えておこう。


めいどが副交感(迷走、舌咽、動眼、顔面)じゃ。


この覚え方だと、神経の名前と対応して覚えることができるぞ。




★これだけ覚える
 脳神経で、副交感神経線維を含むものは、めいどが副交感(迷走、舌咽、動眼、顔面)



これは結構重要なことじゃな。  

国家試験も何度も出ているぞ。



★国家試験をやってみよう

問3 脳神経の中で副交感神経線維を含まないのはどれか。(第41回)
1.動眼神経
2.三叉神経
3.顔面神経
4.舌咽神経
5.迷走神経    



問4 副交感神経作用があるのはどれか.2つ選べ.(第43回)
1. 嗅神経
2. 視神神経
3. 動眼神経
4. 顔面神経
5. 三叉神経       




【解答・解説】 2  
 めいどが副交感(迷走、舌咽、動眼、顔面)じゃ。

問4
【解答・解説】 3,4  
 これも、めいどが副交感(迷走、舌咽、動眼、顔面)。神経の名前を覚える方法の方が、すぐに答えが導けるぞ。




さて、ではなぜ、脳神経は、副交感神経だけで、交感神経はないのだろうか。


今度はそれを説明しよう。


その前にまず、この図を見て欲しい………………






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posted by わらじい at 10:30| Comment(1) | 末梢神経 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月02日

末梢神経は神経線維の集まりじゃ

今日は末梢神経のお話じゃ。

話したとおり、『中枢神経』は、『脳』と『脊髄』に分かれ、『末梢神経』は、『脳神経』と『脊髄神経』にわけられる。


本で勉強していると『末梢神経』は、
 『体性神経』と『自律神経』にわけられるとか、
 『運動神経』と『感覚神経』にわけられるとか、
 『交感神経』と『副交感神経』にわけられるとか
いろいろ書いてあることに遭遇するだろう。

いろいろな名前があって、それを見ただけで、何がなんだかわからなくなってしまう人もいるのではないかな。



混乱する原因として、

“分類法が沢山あるということ”

“一つの名前の神経でもいくつかの名称があること”  が考えられる。



まずは、落ち着いて考えてみよう。


末梢神経は、まず、その神経がどこから出ているかで大きく2つに分けられる。

これが、

『脳神経』と『脊髄神経』

いわゆる解剖学的な分類というものだ。



そして、その神経に意識が関連しているかどうかによって、2つにわけられる。(機能的分類)

これが、

『体性神経』と『自律神経』


『自律神経』は、自分の意思でコントロールできないので、「不随意神経」と呼ばれたりもする。


『脳神経』にも、『脊髄神経』にも『体性神経』と『自律神経』があるので、ここまでを分類するとこうなる。

神経分類.jpg





ここで、注意したいこととしては、

“ある一つの名前がついた神経”は、出る場所の違いで分ければかならず『脳神経』か『脊髄神経』に分類できるが、

『体性神経』か『自律神経』の必ずしもどちらかひとつだけだという訳ではない
ということだ。



例えば、「迷走神経」。

「迷走神経」は、脳から出る末梢神経なので、『脳神経』に分類される。

次に『体性神経』か、『自律神経』かということだが、

「迷走神経」は、喉頭筋を動かしたり、外耳道皮膚の感覚を支配しているので、『体性神経』である。

しかし、「迷走神経」は、その他に、胸部、腹部にも枝をのばし、自分の意思でコントロールできない心機能、気管支平滑筋収縮、消化管運動も支配している。

すなわち『自律神経』でもあるのである。

このように、”一つの名前の神経”でも、『体性神経』『自律神経』、両方の機能があるものもあるということを理解して欲しい。



また、『体性神経』は
 運動を司る『運動神経』 と
 感覚を司る『感覚神経』
 にわかれるのだが、同じように、“一つの名前の神経”で、運動、感覚、両方ともの機能を持つものもあるのだ。

「迷走神経」が、喉頭筋を動かしたり(運動)、外耳道皮膚の感覚(感覚)を支配しているたように。



それに反して、『脳神経』と『脊髄神経』は、神経の出る場所で分けているので、ひとつの神経が、『脳神経』であり、『脊髄神経』であることは決してない。

こんな感じじゃ。

神経分類A.jpg





では、なぜ、このようなことが起きるのか。

それを説明する前に、まず「末梢神経の構造」について説明しよう。

末梢神経は、細い神経線維がいくつも束になっているものだ。

白い一本に見える神経は実は、いくつもの神経線維のあつまりなのだ。

末梢神経の構造.jpg

末梢神経の断面.jpg





基本的に神経線維、一本、一本はひとつの働きしかもたない。

『運動神経』の神経線維は、運動にしか関わらないし、『感覚神経』に神経線維は感覚にしか関わらない。


「末梢神経」はそれぞれに働きを持った神経線維が、いくつもあつまっているもの。

そのため、一本の「末梢神経」で、『体性神経』と『自律神経』が、『体性神経』でも『運動神経』と『感覚神経』が混在していたりするのである。






そして、自律神経は、『交感神経』と『副交感神経』に分けられるのじゃが……….



★これだけ覚える
末梢神経は、いろいろな働きをもつ神経線維の集まり





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posted by わらじい at 11:24| Comment(0) | 末梢神経 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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