2014年04月29日

重症筋無力症は「千本ノック」


わらには、ゴールデンウィークは関係ない。





さて、重症筋無力症の話をしよう。


昨日、原因を話したが、どんなことが起きるか想像してもらえただろうか?


重症筋無力症の原因は、神経筋接合部での、アセチルコリン受容体に対する自己抗体が存在することでおきるのじゃ。

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神経の情報伝達についての復習じゃが、

軸索終末に活動電位がくると、シナプス間隙に神経伝達物質が放出され、次の神経細胞(または骨格筋など)の膜の受容体に結合して、情報を伝える。

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重症筋無力症では、神経伝達物質であるアセチルコリンが、筋肉の受容体に結合しようとするときに、自己抗体があるので、邪魔されて結合できなくなってしまう。


アセチルコリンが放出されて、

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受容体に結合しようとするときに

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自己抗体が先に受容体に結合してしまい

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電気的刺激を筋肉に伝えることができなくなる。



すなわち、筋収縮ができなくなってしまう   のじゃ

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そのため、症状は、 筋肉が収縮できない症状  が見られる。
  


眼瞼下垂、複視、構音障害、嚥下障害、舌筋運動障害など





特徴的なのは、症状に日内変動がある ことじゃ。

日内変動とは、一日のうちで症状がひどい時とそうでもない時があるということ


重症筋無力症の場合は、朝の症状はそれほどでもなくて、午後、夕方に症状が悪くなっていく。
(筋力低下は午後に強くなる)



朝方はまだそんなに受容体に自己抗体が結合していないので、筋肉がある程度収縮できているので、症状があまりひどくないけれども、

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夜になると、時間が経ってたくさん自己抗体が結合してしまい、そのため、アセチルコリンが結合できなくなり、症状がひどくなる とイメージすればいいと思う。

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重症筋無力症は、症状により2つの型に分類できる。

筋力低下が眼の筋肉だけの眼筋型  と、全身の筋肉に起きる全身型


検査では、

筋電図検査において末梢神経の連続刺激で振幅の減少(ウィニング現象)が認められる。

なんども筋肉を刺激をすることで、だんだんと自己抗体に埋められて収縮できなくなってくるイメージじゃ。

さながら、野球の千本ノックで、立ち上がれなくなる野手のような感じじゃな。

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ノックの数が多くなると(筋肉への刺激が多くなると)、だんだんと動けなくなってくるというわけじゃ。



そのほかの特徴としては、

胸腺腫(約15%に合併)、胸腺過形成がみられること。

・患者さんの約80%で、抗アセチルコリン受容体抗体が陽性。




治療は、胸腺腫がある場合は、胸腺を摘出。そのほか、ステロイドを使ったり、アセチルコリンを分解するコリンエステラーゼ阻害剤を投与する。


通常、神経伝達物質であるアセチルコリンは、コリンエステラーゼにより、分解される。

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コリンエステラーゼ阻害剤を投与することで、アセチルコリンを分解しない ようにして、

神経筋接合部にあるアセチルコリンの数を増やし、受容体に結合する可能性を高めて症状を軽減しようとするのじゃ。

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重症筋無力症をまとめると、こんな感じじゃ。

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それでは、国家試験をやってみるぞ。



★国家試験をやってみよう

問41 重症筋無力症について正しいのはどれか。2つ選べ。(第48回)
1.筋電図検査において末梢神経の連続刺激で振幅の増大がみられる。
2.抗アセチルコリン受容体抗体陽性率は10%である。
3.症状の日内変動がある。
4.嚥下障害の合併はない。
5.眼瞼下垂がみられる。



問42 病態と治療薬の組み合わせで正しいのはどれか。(第48回)
1.ジスキネジア     L-dopa
2.重症筋無力症     コリンエステラーゼ阻害薬
3.前立腺肥大症     抗コリン薬
4.間質性肺炎      メトトレキサート
5.消化管出血      アスピリン









この講義が、多くの人に伝わりますように........
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posted by わらじい at 00:42| Comment(0) | 疾患 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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