窓際の個別になった机はもうどれも満員だ。
半分はカバンが置いてあるだけで、だれもいない。
きっと朝来て、場所だけとって、どっかで駄弁っているにちがいない。
そんなカバンを心の中で全部放り投げ、『社会文学』の棚の近くにある大きな机の端に席を確保した。
慣れない図書室に来たのにはワケがある。
明日、脳神経学のテストなのだ。
しかーし!何もやっていいない。まったくこまった。
あまりに単位を落としていると、進級できないかもしれない。やばい。
頑張ろうと思いっていても、何からやっていいのかわからない。
本当、藁をも掴みたい気持ちだが、その藁さえ見つからない。
困った、困った、コマッターだ。
バカなことを言っていないで、とりあえず教科書の1ページ目を開いてみる。
「神経系ではニューロンと呼ばれる神経脂肪が組織を構成する基本である……」
来年からは実習が入るのでようやく楽しくなってきそうなのに。
こんなところで躓いてはいられないと活を入れるも、まったく頭に入ってこない……
これじゃあ、どっかでだべっているやつと同じだ。
しかも、机に座ると、スイッチが入ったように必ず眠くなる。
やらなくちゃいけないといけない時には必ず、襲う睡魔。どうしたらいいのか。
ふわぁ〜〜 ねむ〜い…………
目の前には、大きな目をして、おかしな棒を持った小さな生き物がこっちを見て座っていた。