2014年05月23日

TIAは危機一髪!!

「溺れる者は藁をも掴む」


結構、結構。

是非とも掴んでくれ。

必ず役にたってみせる。






昨日は、脳卒中(脳血管障害)の大まかな分類をはなしたが、脳血管障害については、こんな問題も出題されている。


「機能予後」 についての問題じゃ。


「機能予後」とは、

病気が発症した後、身体の機能がどれくらい保てるか、後遺症がどれくらい残るかということ

じゃ。



いきなりじゃが、国家試験の問題をやってみよう。


問42 脳血管障害の機能予後に関係しない因子はどれか。(第41回)
1. 発症時の年齢
2. 高血圧の有無
3. 病巣の部位
4. 病巣の大きさ
5. 脳循環障害の程度   


【解答・解説】

選択肢の因子のなかで、発症後の身体の機能の保持に関連しないものを選べという問題じゃな。


1.の「発症時の年齢」については、若いほど回復が早く、年齢が高くなるほど予後は悪くなる。 「発症の年齢」は、関連する因子じゃ。


3.と4.の「病巣の部位」や、「病変の大きさ」も予後に関与する。病変の部位や大きさにより症状やその程度が変わってくるので、機能予後には重要なじゃな。


5.の「脳循環障害の程度」は、当然じゃが、障害の程度が強いほど予後が悪くなる。これも重要な因子じゃ。


2.の「高血圧の有無」は、脳血管障害の発症の因子にはなるが、高血圧があるほど機能予後がわるくなるなどの関係はない。


正解 2.




また、脳出血を引き起こしたあとの機能予後についてもこんな問題が出題されている。


問43 脳出血患者のADL自立に関係する因子で適切でないのはどれか。(第42回)
1.性別
2.血腫の部位
3.血腫の大きさ
4.治療開始時期
5.うつ病の有無    


【解答・解説】

「機能予後」については、前の問題で話したとおり、「発症の年齢」、「病巣の部位」と「病変の大きさ」、「脳循環障害の程度」と関連がある。

そのほか、発症から治療を早く始めたほうが発症後の自立は早く、良い。4.は〇。


また、5.の「うつ病の有無」じゃが、うつ病があると、モチベーションもあがらずADLの自立は遅くなってしまう。なので、5。も〇


1.の「性別」には関連はない。


よって、正解 1.



機能予後は、あまり馴染みのない言葉だと思うが、なんとなく常識の範囲で答えられるのではないだろうか。






さて、遅くなったか、昨日約束したとおり、TIA(一過性脳虚血発作)の話をしよう。


TIAとは、動脈硬化により狭くなった血管が一時的につまり、その先への血液が不十分になること で起こる。


意識消失なと症状が急速に出現するのじゃ。

しかし、発作は一時的で、24時間以内には、改善され、後遺症もでない。


発症した人の約1/3が、「脳血栓症」へ移行する との報告もあり、

「脳血栓症」の前触れ(前駆症状)

として非常に重要なものじゃ。

脳血管.jpg




TIAは、一時的な症状だけなので、後遺症などの障害を残さないので、脳梗塞や脳出血などの「脳血管障害」とはすこし違うものなのじゃな。

図にするとこんな感じじゃろうか。

イド3.JPG




さて、それぞれの疾患で、何をどこまで覚えなければならないかというと、

国家試験で重要なことは、ある程度決まっている。

重要なことは、その疾患が、


どんな年齢に多くて(好発年齢)


どんな時に発症しやすくて(発症時期)


発症の原因はなにで(原因)


どのような経過を取るか(経過)





TIAの場合は、


中年〜老年に多く認められ、安静時、活動時などの発症時期には関連がなく、原因が動脈硬化。意識消失などの症状は、急速に起こる。



動脈硬化が原因にあるので、動脈硬化を起こす糖尿病、高脂血症、喫煙、高血圧などが危険因子になる。

1111血管.jpg




なんとなくイメージはできたじゃろうか?

最終的には、この表を全部の疾患で完成させるぞ。


では、次は脳梗塞について話をしよう。

   







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posted by わらじい at 18:30| Comment(0) | 疾患 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

脳ムシのピンチ!!


アルプスの少女ハイジが、わらのベットでねている ことを、わら坊に教えてもらった。

感動じゃ。

20101119094242[1].jpg





今日は脳卒中(脳血管疾患)の話をしよう。



脳卒中(脳血管疾患)は、昭和50年半までは、日本の中で一番の死因となっていた


その後は、高血圧の管理や治療法の進歩により、徐々に減少してきて、昭和60年からは、しばらく死因3位であったが、平成23年に初めて肺炎が上回り、脳血管障害は第4位の死因になっている。


現在の、日本の3大死因は、悪性腫瘍、心疾患、肺炎


長年、日本の3大死因は、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患じゃったので、肺炎が第3位になったことは、おおきなことじゃった。

厚生労働省 平成24年人口動態統計.jpg
厚生労働省 平成24年人口動態統計



このことは、どこかの国家試験に出題されるかとおもっていたら、今年の臨床工学技士国家試験の午前中第一問目に出題された。


問題 我が国の平成24年死因順位の第3位はどれか?(第27回)
1. 悪性新生物
2. 心疾患
3. 脳血管疾患
4. 肺炎
5. 老衰




正解 4.


理学作業療法士の国家試験には、まだ出題されていないので、しっかり覚えておきたい。






それでは、脳卒中(脳血管疾患)の具体的なことについて説明しよう。


そもそも、脳卒中とはなんなのか?


脳卒中とは、脳の卒中のことじゃ。


卒中とは、突然意識を失って倒れ、昏睡状態となるようなこと をいう。

すなわち、脳卒中とは、脳が原因で突然意識を失って倒れ、昏睡状態となるようなことのこと じゃ。




脳卒中には、脳の血管が詰まってしまう  脳梗塞  と

脳の血管が破綻してまう  脳出血  がある。


脳卒中=脳梗塞だと思っている人もいるが、脳梗塞だけではないのじゃな。

スライド4.JPG




脳梗塞には、

動脈硬化などで、血管が細くなったところが詰まってしまい虚血になる  脳血栓症  と、


他から血栓が脳に飛んできて血管が詰まり虚血になる  脳塞栓症  があるのじゃ。


脳血管1.jpg

スライド4.JPG

スライド3.JPG




一方、

脳出血には、

脳内の動脈が破綻して脳内に出血する  脳出血  と、


脳表面の血管が破綻してくも膜下腹腔へ出血する  クモ膜下出血  があるのじゃ。

スライド1.JPG

スライド2.JPG

スライド1.JPG





脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血の死亡率を見てみると、脳梗塞で死亡する率がこの3つの中では、一番高い


そして死亡率の変化を年とともに見てみると、脳出血の死亡率は年々低下しており、クモ膜下出血、脳梗塞では、微増している。

脳血管.jpg



この辺も、国家試験には、たまに出題されるので、押さえておきたいことじゃな。


問 脳血管障害で誤っているのはどれか。(第40回)
1. 日本の三大死因の一つである
2. 日本では脳出血が減少し脳梗塞が増加している




それでは、もうすこし具体的に見ていくとするか。


その前に、TIAの話をしておいたほうがいいかな?





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posted by わらじい at 00:14| Comment(0) | 疾患 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月21日

脳は「過剰包装のプレゼント」


急に雨が降ってきた。

真夜中の雨はすこしだけ寂しい。




今日は脳を包む膜、 「髄膜」について話そう。


髄膜は、3枚の膜で構成されている。

脳は大切に3枚の膜で包まれているのじゃな。


さながら、すこし、過剰包装のプレゼントみたいなものじゃな。

present_box.png



さて、その過剰包装を内側から紹介しよう。

髄膜の一番内側の膜は、 「軟膜」じゃ。

スライド1のコピー.png



その次は、 「クモ膜」

スライド2のコピー.png



軟膜とくも膜の間は、クモ膜下腔と呼ばれていて、ここは脳脊髄液で満たされている。

スライド3のコピー.png

つまり、脳は脳脊髄液という水のなかに浮かんだ状態であるのじゃ。

この脳脊髄液がクッションがわりとなり外からの衝撃を最小限にしているのじゃな。



髄膜の最外層は、 「硬膜」じゃ。

スライド4のコピー.png



脳はこの3枚の膜(髄膜)で大切に覆われているのじゃな。


血管は、クモ膜下腹腔にだけ存在し、ほかの場所にはない。

スライド5のコピー.png

このことが、後に話す、くも膜下出血と関連してくるのじゃ。


では、脳卒中の話をしていこう。









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posted by わらじい at 00:37| Comment(0) | 解剖 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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