2014年04月17日

授業中のおしゃべりは「全か無かの法則」


もう一度、神経興奮の伝達の特徴をおさらいしよう。


【神経興奮の伝達の特徴】
@ 神経の直径が太いと早く伝わる
A 温度が高いと早く伝わる
B 有髄線維は、跳躍伝導で無髄線維より早く伝わる
C 決して伝導中に減衰しない (不減衰伝導)
D 途中で活動電位が発生すると、両方向へ伝えられる  (両方向伝導)
E 別の神経線維に伝わることはない  (絶縁性伝導)




それでは、いつもの通り、昨日の問題の解答解説からじゃ。


問20 神経線維の興奮伝導について誤っているのはどれか。(第39回)
1.髄鞘の電気抵抗は大きい.
2.伝導インパルスの大きさは刺激の大きさに比例する.
3.伝達速度は温度の影響を受ける.
4.活動電位の大きさは伝導中一定である.
5.有髄神経では跳躍伝導がみられる.  


【解答・解説】 
有髄神経で認められる髄鞘は電気抵抗が大きいので、そこには電気が流れず跳躍伝導をするので、1.と 5.は〇

刺激の強さと、伝導速度は関係がないので、 2.はバツ1

温度が高いと早く伝わる。そしてその活動電位は減衰しない(不減衰伝導)。

よって、 3.4.は〇


正解は 2.




問21 神経伝導で正しいはどれか。(第44回)
1.体温の低い方が速い.
2.髄鞘のない方が速い.
3.線維直径の太い方が速い.
4.線維が長いと活動電位は減衰する.
5.線維の途中を刺激すると刺激部位から片側性に伝導する.   


【解答・解説】 
伝導速度は、温度の高いとき、髄鞘があるとき、神経直径が太い時に早くなるので、 1.2.はバツ1で、 3.が〇

活動電位は減衰しない(不減衰伝導)ので、 4.はバツ1

途中で活動電位が発生すると、両方向へ伝えられる(両方向伝導)ので、 5.もバツ1


正解は 3.




問22 1本の神経線維を電気刺激した場合の興奮電動の説明で誤っているのはどれか。(第47回)
1.興奮は両方向に伝わる.
2.興奮は太い神経ほど早く伝わる.
3.有髄神経では跳躍伝導が起こる.
4.興奮は隣接する別の線維に伝わる.
5.興奮の大きさは変わらずに伝わる.   


【解答・解説】 
途中で活動電位が発生すると、両方向へ伝えられる(両方向伝導)ので、 1.は〇

2.3.は〇

5.も不減衰伝導だから〇。

興奮は、別の神経線維に伝わることはない(絶縁性伝導)ので、 4.がバツ1


正解は 4.




問23 正しいのはどれか.2つ選べ.(第43回)
1.末梢神経では中枢神経に比べ両側伝導が生じにくい.
2.末梢神経は伝導速度からA,B,C線維に分類される.
3.ランヴィエ絞輪部には絶縁作用がある.
4.神経伝導速度は神経線維外径が大きいほど速い.
5.神経伝導速度は温度が上昇すると遅くなる.


【解答・解説】 
末梢神経では、中枢神経に比べ両側伝導が起こりやすい特徴がある。 よって 1.はバツ1

伝導速度からA,B,C線維に分類されるので、 2.は〇

ランヴィエ絞輪とは、絶縁体の髄鞘に囲まれた区域で、ここに跳躍伝導していく。

ランヴィエ絞輪は絶縁体ではないので、 3.はバツ1

ブログのイラスト.jpg


伝導速度は、、神経直径が太いとき、温度の高いときに早くなるので、 4.は〇で、 5.はバツ1



正解は 2. と 4.






活動電位の発生 については、ひとつだけ教えよう。

それは、


『全か無かの法則』




これは、どういう法則かというと、

「神経線維は、電気刺激が閾値未満では、全く反応しないが、閾値以上の刺激がくると最大で、同じ大きさの反応を示すということ」  じゃ。





電気刺激の大きさが、”ある大きさ”以上でなければ、神経は全く反応しない。

その代わりに、”ある大きさ”を一度、越えたら、かならず MAXの反応がおこる。

反応がおきるときは、いつでもMAXでおこる。

つまり、

”ある大きさ”以上を超えれば、その強さが強かろうが、弱かろうが、いつでも関係なくMAXで起こる

ということじゃ。


また、この”ある大きさ”のことを「閾値」という。





たとえば、授業中に2人、こそこそ、おしゃべりをする。 (小さな電気刺激)  
illust3684thumb.gif

先生は怒らない。 (全く反応しない)
job_senesi.png






次に、3人で、こそこそ、おしゃべりをする。 (すこし大きな電気刺激)illust3686thumb.gif

まだ先生は怒らない。 (全く反応しない)job_senesi.png






最後に、3人で大声で話す。 (大きな電気刺激)
illust3692thumb.gif

ついに、先生の閾値を超え、MAXで激怒する。 
(電気刺激が閾値を超えたので、反応する。 その反応は最大。)
kenka_fuufu.png








次の日。

こんどは、クラス全員がおしゃべりする。 (とても大きな電気刺激)
おしゃべり.jpg


先生は閾値を超えて、MAXで激怒する。

しかし、その怒りの大きさは、3人で話していた時と変わりない。

電気刺激が閾値を超えたので、反応する。

しかし、刺激がより大きくなったからといってその反応の大きさは変わらない。

いつでも最大で同じ大きさなのだ。

kenka_fuufu.png



これが、



『全か無かの法則』 じゃ。



問20 細胞膜の電位についての記載。〇×で答えよ。(第38回改)
1.活動電位の発生は全か無の法則(All or None Law)に従う.
2.活動電位を発生させる臨界の刺激強度を閾値という.


【解答】
ともに〇 






つぎは、「髄鞘」がおかしくなってしまう病気の話じゃ。








この講義が、多くの人に伝わりますように........
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posted by わらじい at 21:01| Comment(0) | 解剖 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

伝わり方にも特徴がある。

まずは、昨日の復習じゃ。


末梢神経の体性神経は、有髄神経  。


自律神経の節前線維は 有髄神経、  節後線維無髄神経 。

末梢神経は、その神経の太さや伝導速度(有髄神経か無髄神経か)の違いで、ABC線維に分けられる。

節前線維と節後線維.jpg

神経線維の表.jpg



この表を見ながら、今年の国家試験に出題された問題を1問、解いてみよう。


★国家試験をやってみよう

問19 末梢神経について正しいのものどれか。(第48回)
1.A群は最も太い.
2.B群は無髄である.
3.C群は有髄である.
4.交感神経節前線維はC群である.
5.交感神経後線維はB群である.    


【解答・解説】 
神経線維の直径が太いものから順に、A,B,C線維に分けられる。

A線維は、一番太くて、伝導速度も一番早い神経線維じゃ。 1.は〇

AB群は有髄神経で、C群は無髄神経。 よって 2.3.ともバツ1

交感神経節前線維は、B線維、交感神経節後線維はC線維。  4.5.ともにバツ1じゃ。

正解は、1.




もう一度この表をよく見てみよう。

神経線維の表.jpg


ABC線維の中では、A線維が一番、太くて、伝導速度が一番、早い。

そしてC線維が一番細くて、伝導速度が一番、遅い。


神経の伝達速度は、 神経線維の直径が太いほど早い  ことがわかる。



神経の直径が太い場合の他に、神経興奮の伝導速度が速くなるのは........


温度が高いとき じゃ。


温度が高いと抵抗が小さくなって、伝導速度は早くなるからじゃ。


刺激の強さと、伝導速度は関係がない から注意が必要。


そのほか、有髄神経では、跳躍電動でもちろん早くなる。


伝導速度が速くなるのは、神経直径が太いとき  と  温度が高いとき だけと覚えていたらいいと思う。




そのほか、いくつか神経興奮が軸索を伝導するときの特徴がある。



◎興奮の電動は、  決して伝導中に減衰しない  (不減衰伝導)

スライド1.JPG



◎神経線維の途中で活動電位が発生すると、両方向へ伝えられる  (両方向伝導)

スライド3.JPG



◎神経線維が隣接しても、別の神経線維に伝わることはない  (絶縁性伝導)

スライド2.JPG



これらの  神経興奮が軸索を伝導するときの特徴は、非常に重要で、何度も国家試験に出題されている。


かならず覚えて欲しい。


それでは、いくつかやってみよう。



★国家試験をやってみよう
問20 神経線維の興奮伝導について誤っているのはどれか。(第39回)
1.髄鞘の電気抵抗は大きい.
2.伝導インパルスの大きさは刺激の大きさに比例する.
3.伝達速度は温度の影響を受ける.
4.活動電位の大きさは伝導中一定である.
5.有髄神経では跳躍伝導がみられる.  


問21 神経伝導で正しいはどれか。(第44回)
1.体温の低い方が速い.
2.髄鞘のない方が速い.
3.線維直径の太い方が速い.
4.線維が長いと活動電位は減衰する.
5.線維の途中を刺激すると刺激部位から片側性に伝導する.   


問22 1本の神経線維を電気刺激した場合の興奮電動の説明で誤っているのはどれか。(第47回)
1.興奮は両方向に伝わる.
2.興奮は太い神経ほど早く伝わる.
3.有髄神経では跳躍伝導が起こる.
4.興奮は隣接する別の線維に伝わる.
5.興奮の大きさは変わらずに伝わる.   


問23 正しいのはどれか.2つ選べ.(第43回)
1.末梢神経では中枢神経に比べ両側伝導が生じにくい.
2.末梢神経は伝導速度からA,B,C線維に分類される.
3.ランヴィエ絞輪部には絶縁作用がある.
4.神経伝導速度は神経線維外径が大きいほど速い.
5.神経伝導速度は温度が上昇すると遅くなる.




 まずまず、できるのではないか......












この講義が、多くの人に伝わりますように........
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posted by わらじい at 01:56| Comment(1) | 解剖 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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