もう一度、神経興奮の伝達の特徴をおさらいしよう。
【神経興奮の伝達の特徴】
@ 神経の直径が太いと早く伝わる
A 温度が高いと早く伝わる
B 有髄線維は、跳躍伝導で無髄線維より早く伝わる
C 決して伝導中に減衰しない (不減衰伝導)
D 途中で活動電位が発生すると、両方向へ伝えられる (両方向伝導)
E 別の神経線維に伝わることはない (絶縁性伝導)
それでは、いつもの通り、昨日の問題の解答解説からじゃ。
問20 神経線維の興奮伝導について誤っているのはどれか。(第39回)
1.髄鞘の電気抵抗は大きい.
2.伝導インパルスの大きさは刺激の大きさに比例する.
3.伝達速度は温度の影響を受ける.
4.活動電位の大きさは伝導中一定である.
5.有髄神経では跳躍伝導がみられる.
【解答・解説】
有髄神経で認められる髄鞘は電気抵抗が大きいので、そこには電気が流れず跳躍伝導をするので、1.と 5.は〇
刺激の強さと、伝導速度は関係がないので、 2.は

温度が高いと早く伝わる。そしてその活動電位は減衰しない(不減衰伝導)。
よって、 3.4.は〇
正解は 2.
問21 神経伝導で正しいはどれか。(第44回)
1.体温の低い方が速い.
2.髄鞘のない方が速い.
3.線維直径の太い方が速い.
4.線維が長いと活動電位は減衰する.
5.線維の途中を刺激すると刺激部位から片側性に伝導する.
【解答・解説】
伝導速度は、温度の高いとき、髄鞘があるとき、神経直径が太い時に早くなるので、 1.2.は

活動電位は減衰しない(不減衰伝導)ので、 4.は

途中で活動電位が発生すると、両方向へ伝えられる(両方向伝導)ので、 5.も

正解は 3.
問22 1本の神経線維を電気刺激した場合の興奮電動の説明で誤っているのはどれか。(第47回)
1.興奮は両方向に伝わる.
2.興奮は太い神経ほど早く伝わる.
3.有髄神経では跳躍伝導が起こる.
4.興奮は隣接する別の線維に伝わる.
5.興奮の大きさは変わらずに伝わる.
【解答・解説】
途中で活動電位が発生すると、両方向へ伝えられる(両方向伝導)ので、 1.は〇
2.3.は〇
5.も不減衰伝導だから〇。
興奮は、別の神経線維に伝わることはない(絶縁性伝導)ので、 4.が

正解は 4.
問23 正しいのはどれか.2つ選べ.(第43回)
1.末梢神経では中枢神経に比べ両側伝導が生じにくい.
2.末梢神経は伝導速度からA,B,C線維に分類される.
3.ランヴィエ絞輪部には絶縁作用がある.
4.神経伝導速度は神経線維外径が大きいほど速い.
5.神経伝導速度は温度が上昇すると遅くなる.
【解答・解説】
末梢神経では、中枢神経に比べ両側伝導が起こりやすい特徴がある。 よって 1.は

伝導速度からA,B,C線維に分類されるので、 2.は〇
ランヴィエ絞輪とは、絶縁体の髄鞘に囲まれた区域で、ここに跳躍伝導していく。
ランヴィエ絞輪は絶縁体ではないので、 3.は


伝導速度は、、神経直径が太いとき、温度の高いときに早くなるので、 4.は〇で、 5.は

正解は 2. と 4.
活動電位の発生 については、ひとつだけ教えよう。
それは、
『全か無かの法則』
これは、どういう法則かというと、
「神経線維は、電気刺激が閾値未満では、全く反応しないが、閾値以上の刺激がくると最大で、同じ大きさの反応を示すということ」 じゃ。
電気刺激の大きさが、”ある大きさ”以上でなければ、神経は全く反応しない。
その代わりに、”ある大きさ”を一度、越えたら、かならず MAXの反応がおこる。
反応がおきるときは、いつでもMAXでおこる。
つまり、
”ある大きさ”以上を超えれば、その強さが強かろうが、弱かろうが、いつでも関係なくMAXで起こる
ということじゃ。
また、この”ある大きさ”のことを「閾値」という。
たとえば、授業中に2人、こそこそ、おしゃべりをする。 (小さな電気刺激)

先生は怒らない。 (全く反応しない)

次に、3人で、こそこそ、おしゃべりをする。 (すこし大きな電気刺激)

まだ先生は怒らない。 (全く反応しない)

最後に、3人で大声で話す。 (大きな電気刺激)

ついに、先生の閾値を超え、MAXで激怒する。
(電気刺激が閾値を超えたので、反応する。 その反応は最大。)

次の日。
こんどは、クラス全員がおしゃべりする。 (とても大きな電気刺激)

先生は閾値を超えて、MAXで激怒する。
しかし、その怒りの大きさは、3人で話していた時と変わりない。
電気刺激が閾値を超えたので、反応する。
しかし、刺激がより大きくなったからといってその反応の大きさは変わらない。
いつでも最大で同じ大きさなのだ。

これが、
『全か無かの法則』 じゃ。
問20 細胞膜の電位についての記載。〇×で答えよ。(第38回改)
1.活動電位の発生は全か無の法則(All or None Law)に従う.
2.活動電位を発生させる臨界の刺激強度を閾値という.
【解答】
ともに〇
つぎは、「髄鞘」がおかしくなってしまう病気の話じゃ。
この講義が、多くの人に伝わりますように........
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